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第109回 拡大するアジア新興国の中間層

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テキスト版

皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、拡大するアジア新興国の中間層ということで、前回からシリーズでお話している、先進的な欧米のグローバル消費財メーカーの、アジア新興国市場における主要成功要因、3つあるというふうに申し上げて、前回、その1つ目のお話をしました。その1つ目というのは、徹底的に中間層をターゲティングすることですと。そのターゲットからブレない、というのが彼らの主要成功要因の最も重要な軸になっている部分だ、というお話をしたと思うんですけど、その中間層というものが、一体、アジア、ASEANでどう拡大しているのか、その説明を今日はしたいと思います。
ターゲットとなる15億のボリュームゾーンということで、今現在、アジア新興国には15億人ほどの中間層がいると。対して、富裕層というのは1億人ぐらいです。じゃあ、このアジアというのはどこを指しているのかと言うと、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、インド、この地域でだいたい15億人ぐらいいると。この15億という現在の数字だけでもものすごく大きいんですが、2030年には、なんとその数字が30億人、倍に拡大していく、というのが中間層であって、このことこそがアジア新興国の最大の魅力であると。
そうすると、前回お話した、その主要な先進的なグローバル消費財メーカー、P&Gとか、ユニリーバとか、ネスレ、コカ・コーラ、マースなんていうのは、この中間層を獲りにアジア新興国に出ているわけですよね。その軸から絶対にブレない。そうすると、日本の消費財メーカーも、アジア新興国を狙う上で、中間層からブレるというのはそもそも論外だというお話をした。1つだけ、例外があるのが、これ、求めている売上なんですよね。自分たちがアジア新興国でいくらやりたいのかによって、どこまで中間層を突き詰めるべきかというのは決まってくる。
例えば、中堅中小企業。中堅中小企業が求めている数字と、10億やりたいんだという数字と、いやいや、100億までいかないような事業はしたくないよという大企業、これ、やっぱり中間層をターゲットにしないと100億はいかないと。ただ、10億だったら、国選び、都市選びを間違えなければ、アジア新興国で中間層を狙わなくても10億いくんですよね。例えば、シンガポール、香港、台湾、韓国、ASEANで言ったら、タイ、マレーシアぐらいに絞って、徹底的に上位中間層から富裕層を狙っていく。ものにも当然よりますけど、10億だったら十分いくと。そうすると、日本国内の売上が50億の中堅中小企業が、「海外で10億やりたいんだ」と言うのであれば、国選び、都市選びを間違えなければ、中間層をターゲットにしなくても10億はいけると。一方で、将来的に100億の市場をつくっていかなきゃいけないというような大企業、大手の消費財メーカーは、もうこれ、特にFMCGとその周辺事業に関しては、中間層に売ってなんぼです。たかだか100円200円のものを売っているわけですから、この中間層から逃げるということ自体がそもそも論外で。これだけ大きく拡大する、ここを狙わずしてどこを狙うんだということになると思いますので、どんなに逃げたくなっても、やっぱりこの中間層の軸というものから逃げるのであれば、アジア新興国にはそもそも出る意味がないんじゃないかな、というふうに思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。